生きること、死ぬこと、それ以上のなにか・・・

このブログでは、音楽、なかでもクラシック作曲家である「バッハ」を中心に取り上げます。 また演奏家、CDについての批評も行います。 ちなみに私は指揮者のセルジュ・チェリビダッケに深く傾倒しております。

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チェリビダッケ批評 22 チャイコフスキー 幻想序曲『ロメオとジュリエット』


セルジュ・チェリビダッケの至芸セルジュ・チェリビダッケの至芸
(1997/10/22)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

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EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは22回目のレビューになります。

22回目の曲目は、


"チャイコフスキー 幻想序曲『ロメオとジュリエット』"(1992年録音)
原題: Tchaikovsky Fantasy Overture Romeo and Juliet

シェイクスピアの戯曲『ロメオとジュリエット』を標題とした音楽です。
この曲は数多あるチャイコフスキーの管弦楽曲の中でも最も優れたものの一つです。

この曲のなにがそんなに凄いのか?
それは『ロメオとジュリエット』という原作を、
ほぼ完璧に音楽に移し変えて表現している点に尽きると思います。

この作品はチャイコフスキーが30歳頃の若書きの作品ですが、
晩年の悲愴と比較しても全く遜色するところがありません。
チャイコフスキーの天才性が遺憾なく発揮された作品だと思います。


―演奏について―

チャイコフスキーも凄いですが、
この音のドラマを、
これほどの迫真性を持って演奏したチェリビダッケ&ミュンヘン・フィルも凄い。
そう言わざるを得ない演奏です。
ロメオとジュリエットの悲劇を余すところなく描ききっています。

曲の冒頭部分、木管の幻想的なモティーフから、
展開部にあたる、圧倒的で破滅的な悲劇。
そして、曲の終結部の救済をこれほどリアリスティックに表現した演奏は稀有でしょう。


くどくど細部は指摘しません。
ただ一点、最後の救済の場面での、
音楽の透明性、
その浄化には心胆寒からしめるものがあります。

日常では体験することができない、異常さ。
芸術の恐ろしさが遺憾なく発揮された演奏だということができます。


-追記-

EMIはなぜ、
チェリビダッケ指揮の
チャイコフスキー「フランチェスカ・ダ・リミニ」
ラヴェル「マ・メール・ロワ」
シューベルト「ロザムンデ間奏曲」
といった傑作群をリリースしないのか?

ブラームス「交響曲第一番」のような駄作をリリースする前に
このような傑作を早くリリースするべきです。
売り上げ至上主義的なEMIの姿勢に、
私は非常に不満を感じています。




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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

  1. 2011/04/02(土) 11:28:56|
  2. チェリビダッケ批評
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チェリビダッケ批評 18 ブラームス 交響曲第1番 ハ短調


ブラームス:交響曲第1番、「ドイツ・レクイエム」/Brahms: German Requiem Symphony no.1ブラームス:交響曲第1番、「ドイツ・レクイエム」/Brahms: German Requiem Symphony no.1
(2007/01/01)
ブラームス、 他

商品詳細を見る


EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは第18回目のレビューになります。

第18回目の曲目は、


"ブラームス 交響曲第1番 ハ短調"(1987年録音)
原題: Brahms Symphony No.1 in c-moll


―曲について―
ブラームスは4つの交響曲を残しています。
交響曲としてのクオリティは、
第4番→第3番→第2番→第1番
というように後の交響曲の方が優れているように感じます。

しかし交響曲第1番は、
ハンス・フォン・ビューローに「ベートーヴェンの交響曲第10番」と評されたり、
暗から明への移行が非常にわかり易く構成されているので、演奏頻度は比較的高いです。

非常に厳しく推敲が重ねられ、着想から完成までに21年という歳月を要しています。

世評に反するようですが、私はこの曲を余り評価していません。
それはこの曲が模範的なものを志向するあまり、
曲の展開が、まじめにすぎると考えているからです。
デモーニッシュ(悪魔性)さを欠いているということもあります。
信念の吐露として芸術作品を考えた場合、
この曲ははっきり言って失格です。
オーケストレーションも貧相なものです。

この曲の演奏に関して述べると、
チェリビダッケの演奏は作品に対する共感があまり感じられません。
残念ながら、説得力のある演奏とは言いがたいものがあります。

チェリビダッケのブラームスの交響曲第2番の演奏は非常に刺激に満ちた演奏であることを考えると、
やはりこの曲は出来が良いとは言えません。


―演奏について―

第1楽章 Un poco sostenuto - Allegro
ハ短調、序奏付きのソナタ形式、6/8拍子(9/8拍子)


威厳に満ちた冒頭部と評されることもありますが、
私にはリズムが余りにも愚鈍にすぎるように聴こえます。
曲の展開も必然性を感じさせないものであり、
聴いていて退屈だと感じざるを得ません。


第2楽章 Andante sostenuto
ホ長調、複合三部形式、3/4拍子


とても単調な音楽です。
私にはこの単調さは耐え難いものがあります。


第3楽章 Un poco allegretto e grazioso
変イ長調、複合三部形式、2/4拍子


この楽章に関して言えば、純粋に音楽の美しさを堪能することができます。
弦楽器の澄みきった響きには感嘆させられます。


第4楽章
Adagio - Piu andante -Allegro non troppo, ma con brio -Piu allegro
ハ短調→ハ長調、序奏付きのソナタ形式(ただし展開部を欠く)4/4拍子


非常な問題点を持つ楽章です。
暗から明への移行というのは、
なぜそうなるのかという理由、必然性がなければ、
とても空虚な音楽になります。
この楽章はその典型的なパターンです。


―全体についての所感―
セルジュ・チェリビダッケという演奏家は自身の音楽観に対して非常に忠実な音楽家です。
そのためか、演奏される曲は、その良さや悪さが非常に明確に現れます。
特徴が非常にわかり易く提示されます。
そういう人の演奏ということもあるのでしょうが、
ほかの演奏家では聞き流せるところも、曲を穿り返すあまり、聞き逃せません。
この演奏ではブラームスの交響曲第1番の悪い面がたぶんに強調されているようにも感じます。
そういう意味ではこの曲に対する認識を改めさせてくれる、
非常に示唆に富んだ演奏だということができます。

この曲は随所に光るオーケストラの響きの美しさを堪能すべき曲であり、
曲自体が持つイデーを考えるためのものではありません。

非常に辛辣な批評になってしまいましたが、
これが私の正直な印象です。







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  1. 2011/03/22(火) 20:26:52|
  2. チェリビダッケ批評
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チェリビダッケ批評 03 モーツァルト交響曲第40番

モーツァルト:交響曲第40番/Mozart/Haydn: Symphoniesモーツァルト:交響曲第40番/Mozart/Haydn: Symphonies
(2007/01/01)
モーツァルト、 他

商品詳細を見る


EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは第3回目のレビューになります。

第3回目の曲目は、
”モーツァルト 交響曲第40番 ト短調” (1994年録音)

モーツァルトは41曲の交響曲を残しています。
最後から2番目の交響曲ですね。

交響曲全41曲中、短調の曲は2つしかありません。
その2つの内の1つです。(他の短調交響曲は第25番)
その両方がト短調であるため、こちらを「大ト短調」、
25番を「小ト短調」と呼ばれることがあります。

私はモーツァルトの神髄は長調にあると考えているので、
この曲に関しては、あまり好意的とは言えません。
しかし、魅力的な曲だとは思います。


チェリビダッケがこのような古典派(ハイドン、モーツァルト、初期のベートーヴェン)の
作品の演奏を行う際には、ある種の違和感、距離感があります。

第1楽章
1.Molto allegro

非常に有名な冒頭部分です。このように有名な作品の場合、
伝統というか、このように演奏すべき、というのが決まっているものなのですが、
チェリビダッケは、そのような伝統を拒否しています。

インパクトがあるモティーフなので、それを強調するように演奏することが、多いのですが、
チェリビダッケの場合、割とさらっと流します。それは、全体の構築性のためです。

第2楽章
2.Andante

チェリビダッケとミュンヘンフィルはこのような、穏やかな音楽を奏でるときに、
最大限の魅力を発揮します。ひたすら美しく、そして儚い音楽です。

第3楽章
3.Menuetto (Allegretto)

異常に緊張感のある音楽です。
メヌエットというより、スケルツォと呼ぶ方がふさわしい気がします。

私はこの交響曲の中ではこの楽章が最も好きです。
チェリビダッケの演奏は、ややゆったり過ぎるかなという気もします。
ただ、オーケストラの透明感、トリオとの対比は見事なものです。

第4楽章
4. Finale (Allegro assai)

この楽章に関しては、緊張感に満ちています。
曲もそうですし、演奏もそうです。
この曲の演奏時、チェリビダッケは82歳でしたが、
とてもそのような老人の音楽には聴こえません。
覇気に満ちています。
そして、緊張感を保持したまま、悲劇的なクライマックスを迎えます。

<全体を通じての感想>
これが本来のモーツァルトかと、問われれば、少し違うかもしれません。
チェリビダッケは生前、「モーツァルトの音楽はサラダだ」という旨の発言をしています。
チェリビダッケ自身が、あまりモーツァルトに関心がなかったのかもしれません。

しかし、非情に説得力のある演奏ではありますし、
他の演奏では気付けなかったことを教えてくれる演奏でもあります。


次回はは、またハイドンに戻り、交響曲第92番「オックスフォード」の演奏を取り上げます。
"





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  1. 2010/12/11(土) 05:40:10|
  2. チェリビダッケ批評
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