生きること、死ぬこと、それ以上のなにか・・・

このブログでは、音楽、なかでもクラシック作曲家である「バッハ」を中心に取り上げます。 また演奏家、CDについての批評も行います。 ちなみに私は指揮者のセルジュ・チェリビダッケに深く傾倒しております。

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チェリビダッケ批評 23 ムソルグスキー/ラヴェル 「展覧会の絵」

EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは23回目のレビューになります。

23回目の曲目は、

"ムソルグスキー/ラヴェル 「展覧会の絵」"(1993年録音)
原題: Mussorgsky/Ravel "Pictures at an exhibition


(長らく更新していませんでした、申し訳ありません。)
因みに、EMIはこの音源を販売形態を変えて、3枚も出しています。
お金儲けの魂胆がみえみえです、クソー!
(しかし、私はチェリビダッケマニアなので、全部買ってしまいました・・・
だって、それぞれのCDのカップリング曲が違うんですよ・・・)


①EMI

セルジュ・チェリビダッケの至芸セルジュ・チェリビダッケの至芸
(1997/10/22)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

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チェリビダッケのEMI録音BOXが出る前に単体で販売されたものです。
曲目:チャイコフスキー 幻想的序曲「ロメオとジュリエット」
   ムソルグスキー~ラヴェル編曲「展覧会の絵」
どちらともミュンヘン・フィルハーモニーの演奏です。
(これ以降オーケストラについての表記がない場合は、ミュンヘン・フィルとの演奏です。)

Mussorgsky.jpg

チェリビダッケのリハーサルを収録したもので2枚組です。
曲目は、上記と同じです。

Bolero.jpg

チェリビダッケのBOXが発売され、その中に入っていたのがこれです。
曲目:ラヴェル「ボレロ」
   ムソルグスキー~ラヴェル編曲「展覧会の絵」

(EMIの「展覧会の絵」の音源は全て同一のものです。)

チェリビダッケのムソルグスキー「展覧会の絵」

これは、チェリビダッケファンにとっては、禁断の響きでしょう。
生前、チェリビダッケはこの曲を好んで演奏していました。
そして、この演奏が奏されていたときには、悠久の流れがありました。
断言しますが、「展覧会の絵」に関しては、チェリビダッケを超える演奏はありません。
(感じ方は人それぞれなので断定したくはないのですが)
そこまで言わしめる圧倒的な音楽です。

各曲を見ていきます。

第1曲目-第1プロムナード Promenade
堂々と威厳をもち、しかしどこか儚く曲は開始されます。
非常に有名なテーマですが、全く新しく、今創造されたような印象を受けます。
第2曲目-小人(グノーム) Gnomus
非常に怪しい音楽です(良い意味で)。
この様な毒毒しい怪しさを持つ音楽も稀です。
第3曲目-第2プロムナード [Promenade]
2回目のプロムナードは木簡楽器を中心に奏でられます。
必然的にそれは郷愁を誘う音楽になります。
第4曲目-古城 Il Vecchio castello
この中間色の美しさ、弛緩(良い意味で)を見事に表現しています。
第5曲目-第3プロムナード [Promenade]
金管楽器中心のプロムナードです。
金管楽器は全体のチューニングが非常に難しいのですが、
チェリビダッケはそれをやります。
それだけでなく、オーケストラ全体をチューニングし、会場や楽器の音響特性にもこだわり、
最終的には精神のチューニングとさえいえるようなことをも実現させています。
第6曲目-テュイルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか Tuileries - Dispute d'enfants apres jeux
フルートの最初の響きが非常に美しい小曲です。
第7曲目-ビドロ Bydlo
徐々に盛り上がっていく、一種異様な高揚感、そして暴力性。
最後にそれは儚く消え去っていきます。
第8曲目-第4プロムナード [Promenade]
アレンジされたプロムナードです。
弦楽器のハーモニーが非常に美しいです。
第9曲目-卵の殻をつけた雛の踊り Ballet des poussins dans leurs coques
木管楽器を中心とした小曲です、この曲はリズムが面白く、
チェリビダッケはリズムにも偏執狂的なアプローチを施しています。
第10曲目-サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ Samuel Goldenberg und Schmuyle
この曲では対立する2つの要素のがあり(乱暴に例えるなら、ソナタ形式の提示部)、
その表情付けが見事です。

(第5プロムナード Promenade(ラヴェル版では削除))

第11曲目-リモージュの市場 Limoges - Le marche
前曲とのコントラストが見事で、この曲の躁的に明るい面を強調しています。
第12曲目-カタコンベ - ローマ時代の墓 Catacombae - Sepulchrum Romanum
冒頭の異常なまでの印象、驚き、そして暗さ・・・
ここから曲はどんどん悲劇的にエスカレートしていきます。
第13曲目-死せる言葉による死者への呼びかけ Cum mortuis in lingua mortua
オーボエの何もかも諦めきったかのような表情が非常に印象的です。
そして、この曲に顕著に見られる弱音部分の美しさといったら!
第14曲目-鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤーガ La cabane sur des pattes de poule - Baba-Yaga
チェリビダッケはこの曲の本質を「焦燥」、と捉えているのではいかと思います。
第15曲目-キエフの大門 La grande porte de Kiev
全てがここに集約されます。
冒頭のあくまでメッゾフォルテでいて、掛け替えのない感動をどのように表現すれば良いのか?
プロムナードの主題が回帰的に登場します。
それは全体に統一感を持たせるためです。
そして、この目論見は偉大さを持って、実現されます。
曲の終結、
音がどんどんクレッシェンドしていき、
音楽がその密度によって耐えられなくなります。
そして最後に圧倒的なカタルシスをもたらし、
この偉大な曲、そして演奏は終わりを告げます。

②EMI以外のCD
EMI以外で、私が所有しているディスクを以下に記載します。
(計)7ディスク

1.

シューマン : 交響曲 第4番 他 (Schumann : Symphony No.4, Mussorgsky : Pictures at an Exhibition / Celibidache, Munchner Philharmoniker) [SACD シングルレイヤー]シューマン : 交響曲 第4番 他 (Schumann : Symphony No.4, Mussorgsky : Pictures at an Exhibition / Celibidache, Munchner Philharmoniker) [SACD シングルレイヤー]
(2012/12/20)
シューマン、 他

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ALTUSレーベルのCD(上記のリンクはSACD)です。
カップリングはシューマンの交響曲第4番です。
来日公演の演奏で、録音は1986年です。
このCDは音が良くお薦めです。

2.

ムソルグスキー:展覧会の絵ムソルグスキー:展覧会の絵
(1999/07/23)
シュトゥットガルト放送交響楽団

商品詳細を見る


GrammophonのCDです。
カップリングはストラヴィィンスキーの「妖精の口づけ」です。
オーケストラはシュトゥットガルト放送交響楽団で、透明感あふれるものですが、
録音が良くない。変なバランスになっています。

3.
Celibidache with London Symphony Orchestra

Concert ClubのCDです。
ロンドン交響楽団との演奏です。
これが非常に素晴らしい、音質も生々しく、
チェリビダッケの「展覧会の絵」の3本指に数えられるでしょう。

4.
AUDIOR.jpg
これ以降のCDはBoot盤になります。

AUDIORというレーベルのCDです。
1986年ベルリンでのライブ録音です。

断定します、チェリビダッケが演奏した「展覧会の絵」の録音の中で、
これは最も優れたCDです。
演奏・録音が非常に優れています。
チェリビダッケの残した全ての音源の中でも5本指に入るかもしれません。

各組曲の色分けも非常に丁寧になされています。
そして、全体のパースペクティブが圧倒的に深く考察されています。

最後の最後、キエフの大門で、
チェリビダッケが、「ディーーーー」と、叫びます。
その後の地平線の彼方まで見通せたかのような響き、
(ここで私は音楽を見たような、幻視したかのような感覚に襲われました。)

フォルテッシモでもオーケストラの楽器が全く濁らない。
もう、これは一つの次元を超えた演奏です。
私はこの音楽をより多くの方に聴いて頂きたいと願っています。

カップリングはブルックナーの交響曲第7番です。
こちらも名演ですが、また次の機会に・・・


5.
Mussorgsky Pictures at an Exhibition

METEORというレーベルのCDです。
オーケストラはシュトゥットガルト放送交響楽団です。

はっきりいって、同じオーケストラのGrammophonのCDより、ずっと優れています。
特に音質の点で・・・
このころのチェリビダッケはまだ晩年の悠々さは見られませんが、
オーケストラを磨けあげ、異常なまでに美しい響きを奏でていました。

6.
Artists1.jpg

ARTISTSというレーベルのCDです。
3と同じソースを用いています。
ただ、こちらの方が高音域で少し音がキンキンする気がします。
カップリングは、同じくムソルグスキーの「禿山の一夜」です。

7.
Mussorgsky Pictures at an Exhibition (Artists Chicago)

また、ARTISTSというレーベルのCDです。
こちらは、アメリカのシカゴでのライブ録音です。
私は、ARTISTSというレーベルの音作りに、あまり共感出来ません。
演奏の方も、長旅の疲れが指揮者にもオーケストラにもあったのか、
些か弛緩しています。

③映像(DVD)
なお、映像も残っています。
ロンドン交響楽団を引き連れての来日Liveなど、

テレビで放送されていましたので、
ご覧になられた方も結構いらっしゃるのではないかと思います。

1.ロンドン交響楽団との来日公演(1980年)

NHKクラシカル セルジウ・チェリビダッケ ロンドン交響楽団 1980年日本公演 [DVD]NHKクラシカル セルジウ・チェリビダッケ ロンドン交響楽団 1980年日本公演 [DVD]
(2007/10/26)
セルジウ・チェリビダッケ.ロンドン交響楽団

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2.Audi Concert
チェリビダッケ&ミュンヘン・フィルが自動車メーカー、アウディで行ったコンサート。(年代不明)
演奏は良いんですが、残念ながらいかんせん音がいただけません。
画質もあまり良くありません。

3.Live
チェリビダッケ&ミュンヘン・フィル(詳細不明)
まず、間違いなくミュンヘンフィルです。
演奏・音質共に、可もなく不可もなくといったところです。


-結論-
チェリビダッケの「展覧会の絵」はオーケストラ芸術の一つの極点、
といっても過言ではありません。

計13音源ありますが、
聴くのでしたら、②の4、
AUDIOR盤(AUD-7009-10)
が最もお薦めです。

いまなら、EMIのこのBoxが信じがたいほど、安くなっています。





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  1. 2013/03/25(月) 18:09:02|
  2. チェリビダッケ批評
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マーラー 交響曲第1番 ニ短調 -巨人-

Mahler
作曲家グスタフ・マーラー(GustavMahler)

の作品を順次紹介させて頂きます。

今回採り上げる曲は、マーラーの最も初期の交響曲、交響曲第1番 ニ短調 ≪巨人≫です。

私が所有しているディスクは以下の14枚です。☆×10

01.ジョン・バルビローリ&ハレ管弦楽団(1957)
☆☆☆☆☆☆☆(7)

(バルビローリならではの非常に力強い演奏です。)

02.ブルーノ・ワルター&コロンビア交響楽団(1961)
☆☆☆☆☆☆☆(7)

(ブルーノ・ワルターはマーラーの直弟子にあたる人物です。演奏は非常に聴きやすいものです。)

03.レナード・バーンスタイン&ニューヨーク・フィルハーモニック(1966)
☆☆☆☆☆☆☆☆(8)

(マーラーが今日、ここまで有名になったのは、レナード・バーンスタインの功績によるところが大きいです。彼はまだ、マーラーが作曲家として無名だった頃から、積極的に採り上げています。マーラー・ブームを作った一枚!)

04.オトマール・スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデン(1966)
☆☆☆☆☆☆☆☆(8)

(一般的には地味な録音とされていますが、とんでもない!この録音はオーケストラのシュターツカペレ・ドレスデンが素晴らしすぎる。このオーケストラは、個人的にはベルリン・フィルやミュンヘン・フィルに並ぶほど素晴らしいオーケストラです。旧東ドイツのオーケストラなので、なかなか注目を浴びないのが残念です。)

05.ラファエル・クーベリック&バイエルン放送交響楽団(1967)
☆☆☆☆☆(5)

(クーベリックは素晴らしい指揮者なのですが、この音源は、録音が酷い。ライブ録音などが残っていれば良いのですが・・・)

06.レナード・バーンスタイン&ウィーン・フィル管弦楽団(1974)_DVD
☆☆☆☆☆(5)

(ちょっと濃い演奏です。それがウィーン・フィルに余りマッチしていない印象を受けます。)


07.クラウス・テンシュテット&ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1977)
☆☆☆☆☆☆☆☆(8)

(これは素晴らしい演奏です。EMIの録音はいまいちなのですが、それを補ってあまりある素晴らしさ、怪しさがあります。)

08.ヘルベルト・ケーゲル&ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団(1979)
☆☆☆☆☆☆(6)

(ケーゲルにしては、いまいちな録音。)

09.ゲオルグ・シォルティ&シカゴ交響楽団(1983)
☆☆☆☆☆☆☆(7)

(非常にスムーズに聴かせるマーラーです。聴いていて心地よい音楽です。)

10.レナード・バーンスタイン&アムステルダム・コンセルトヘボウ(1987)
☆☆☆☆☆☆☆(7)

(バーンスタインのマーラー交響曲第一番の録音ではこれがベスト!円熟した至芸!)


11.クラウス・テンシュテット&シカゴ交響楽団(1990)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9)

(後述します。)

12.ガリ・ベルティーニ&ケルン放送交響楽団(1991)
☆☆☆☆☆☆☆☆(8)

(余りにも美しいマーラー!しかしこの交響曲は美しさだけではどうにもならない部分があります。しかし美しい、ベルティーニ恐るべし。)


13.ミヒャエル・ギーレン&南西ドイツ放送交響楽団(2002)
☆☆☆☆☆☆☆☆(8)

(後述します。)

14.マイケル・ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団(2001)
☆☆☆☆☆☆☆(7)
(現代の新しいマーラー像です。ただ、インパクトが薄い。しかし、2流のオケをここまで鳴らす手腕はお見事。)



この中で最も素晴らしい演奏は、間違いなく、
クラウス・テンシュテット&シカゴ交響楽団(1990)です。

この交響曲第1番は内容は実に典型的なものです。
プロットはベートーヴェンの「運命」に酷似しています。
しかし、そのボキャブラリー、表現方法は、「運命」の比ではありません。
(決して「運命」を貶めているわけではありません。)
しかし、様々な工夫を行ったからと言っても、「暗」⇒「明」という流れは変わりません。

私が、テンシュテット&シカゴ響の演奏に固執するのは、
この演奏が余りにもデモーニッシュ(悪魔的)だからです。
通常、「明」は適度に抑制されて登場します。
しかし、テンシュテット&シカゴ響の演奏では、「明」を圧倒的に輝かせるため、
「暗」の部分を徹底的にいじり抜いています。
それ故、音楽が力を取り戻す際のパワーは計り知れないものがあります。

はっきり言って、この交響曲はマーラーの作品の中では下位に数えられるものだと思います。
しかし、ここまで、徹底して演奏を行うことで、異常な力を持つことがあります。
その好例が、テンシュテット&シカゴ響の演奏です。

あと、ミヒャエル・ギーレン&南西ドイツ放送交響楽団の演奏が、
非常にポリフォニックで、他の演奏と異質なものになっています。

通常のマーラー演奏は、自己の苦悩を克服する様なイメージを持ち、演奏するものですが、
ギーレンはそんなことに全く興味を持たず、音符の流れだけを追っている印象を受けます。
それ故、どこか達観した雰囲気を感じさせます。

テンシュテットのシカゴ響の演奏は単売ですが、ロンドン・フィルとの演奏は全集ですので、
そちらから入るのも良いかもしれません。
シカゴ響とはまた違った、ヨーロッパ的?なおどろおどろしさがある演奏です。

少なくともこの曲に関して、私が自信を持って述べることが出来るのは、
テンシュテット&シカゴ交響楽団の演奏を聴くべきだということです。

マーラーは最終的に交響曲(つきつめていくと、ソナタ形式)という形式を破壊しています。
(交響曲6,7,9番で詳しく説明させて頂きます。)
そのような作曲家の最初の作品が、見事にソナタ形式に準じているというのも不思議な気がします。

次回は交響曲第2番「復活」を採り上げさせて頂きます。



マーラー:交響曲第1番「巨人」マーラー:交響曲第1番「巨人」
(2010/10/20)
テンシュテット(クラウス)

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  1. 2012/03/07(水) 07:47:47|
  2. マーラー:交響曲
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チェリビダッケ批評 15 ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調

チェリビダッケ批評 15 ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調
Beethoven Symphonies Nos. 4  5

ベートーヴェン:交響曲第4&5番
(2001/04/18)
チェリビダッケ(セルジュ)

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EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは第15回目のレビューになります。

第15回目の曲目は

”ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調” (1992年録音)

「運命」という通称で呼ばれる、
ベートーヴェンの非常に有名な5番目の交響曲です。


この曲には、壮年期のベートーヴェンらしさに満ち満ちた曲です。
特に動機労作の点について、それが顕著に現れています。


冒頭の”ダダダダーン”というリズムと、
G→Es”長3度の移行”の音程が、
曲のほとんどを覆いつくしています。


そして、「暗」→「明」への表情の移り変わりが、
非常にわかりやすく提示されているのです。


演奏について述べます。

第1楽章 Allegro con brio ハ短調 2/4拍子 ソナタ形式

非常に慎重に、緊張感を持って、第一主題が鳴ります。
この部分が交響曲第5番全体の骨格に当たる部分なので、
それは当然です。

チェリビダッケの演奏の場合、曲の重要な箇所の意味が、
(例えばこの冒頭部分)意識せずとも
意識して聴く場合と同じくらいの強度で伝わります。
つまり、曲の構造原理が格段に把握しやすくなるのです。

私は、良い演奏とはこのようにあるべきだと考えています。

再現部も決して力まず、スムーズに音楽は流れます。
しかし、ただそのまま流れているのではなく、
なぜそのような展開をしながら曲が進行するのか、
非常に丁寧に教えてくれます。

チェリビダッケとミュンヘン・フィルがこの曲の構造原理を完璧に把握しており、
またそれを演奏として実現できる能力の高さを持っていることを示唆しています。


第2楽章 Andante con moto 変イ長調 3/8拍子
主題と3つの変奏、コーダから成る緩徐楽章。


非常に穏やかな表情をしています。
しかしその背後でどのように変奏が行われているのかを、
緻密に解き明かしています。


第3楽章 Allegro. Attacca ハ短調 3/4拍子
複合三部形式 スケルツォ - トリオ - スケルツォ - コーダ


この楽章は通常、緊張感を持って演奏されることが多いですが、
チェリビダッケは非常におおらかに演奏しています。
フゲッタの部分での各楽器間のパートバランスの繊細さは瞠目に値するほどです。
この楽章は、切れ目なく、次の楽章へ進みます。


第4楽章 Allegro. Presto ハ長調 4/4拍子 ソナタ形式

ここでは、一般的な演奏では存在する、
熱狂的な興奮は存在しません。
あるのは偏執狂的なまでに論理的に演奏しようとする確固とした意思だけです。

冒頭のフォルッテッシモの部分でも決して響きは濁りません。
第4楽章だけを取り上げると、ソナタ形式には聴こえないかもしれませんが、
交響曲第5番全体で俯瞰すると、
全体が非常にソナタ形式的であると気付かせてくれます。


チェリビダッケが指揮したベートーヴェンを聴くと、
この部分はこうなっていたのかと溜飲を下げることが非常に頻繁にあります。

あまり適切な表現ではないかもしれませんが、曲を解剖しているような印象を受けます。
(ときにそれは美しさだけではなく、グロテスクな様相を呈すこともあります。)

ベートーヴェンが非常に論理的に作曲を行っているということ、
そのことを改めて認識させてくれるような演奏だと思います。






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  1. 2011/03/19(土) 00:46:45|
  2. チェリビダッケ批評
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マーラーについて 1

作曲家:グスタフ・マーラー(Gustav Mahler)について、私見を述べさせて頂きます。

Mahler(2).jpg

マーラーは、
そして、渡航先のアメリカから病躯をおしてウィーンに戻り、1911年に亡くなっています。
51年の生涯でした。

同時にブルックナーについても更新していますが、
(他の交響曲作家と比較し、ブルックナーの特異点を浮かび上がらせる方法で)

マーラーについては、
彼の書いた交響曲をまず俯瞰してみます。

交響曲第1番ニ長調「巨人」
交響曲第2番ハ短調「復活」- 独唱(ソプラノ、コントラルト)、合唱付
交響曲第3番ニ短調 - 独唱(コントラルト)、合唱、少年合唱付
交響曲第4番ト長調 - 独唱(ソプラノ)付
交響曲第5番嬰ハ短調
交響曲第6番イ短調「悲劇的」
交響曲第7番ホ短調「夜の歌」
交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」 - 独唱(八声部)、2群の合唱、少年合唱付
交響曲第9番ニ長調
交響曲第10番嬰ヘ長調(未完成。デリック・クックらによる補作あり)
交響曲「大地の歌」イ短調 - 独唱(テノール、コントラルトまたはバリトン)付


マーラーの作品・生涯について、分かりやすくまとめられています。

マーラー (作曲家・人と作品)マーラー (作曲家・人と作品)
(2004/05/01)
村井 翔

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マーラーの交響曲第1番のスコア(楽譜)です。

OGTー1446 マーラー 交響曲第1番 (改訂版) (Philharmonia miniature scores)OGTー1446 マーラー 交響曲第1番 (改訂版) (Philharmonia miniature scores)
(1977/04)
マーラー

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マーラーの交響曲第1番の素晴らしい演奏をご紹介致します。

マーラー:交響曲第1番「巨人」マーラー:交響曲第1番「巨人」
(2010/10/20)
テンシュテット(クラウス)

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  1. 2011/03/18(金) 00:58:50|
  2. マーラー:交響曲
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ブルックナーについて 1

作曲家:アントン・ブルックナー(Anton Bruckner)について、私見を述べさせて頂きます。

Bruckner_20110317202158.jpg


ブルックナーは、
1824年にオーストリアのアンスフェルデンで生を受け、
1896年にウィーンで、その72年の生涯に幕を下ろしています。

結論を述べると、
ブルックナーは世界で最も優れた交響曲作曲家ということが出来ます。
その理由は、後々述べさせて頂きたいと思います。

さて、交響曲作曲家といえば、どのような作曲家がいるのでしょうか?
年代順に並べてみます。



ハイドン (Franz Joseph Haydn 1732年 - 1809年)
モーツァルト (Wolfgang Amadeus Mozart 1756年 - 1791年)
ベートーヴェン (Ludwig van Beethoven 1770年 - 1827年)
シューベルト (Franz Peter Schubert 1797年 - 1828年)
メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy 1809年 - 1847年)
シューマン (Robert Alexander Schumann 1810年 - 1856年)
ブルックナー (Josef Anton Bruckner 1824 - 1896年)
ブラームス (Johannes Brahms 1833年 - 1897年)
チャイコフスキー (Peter Ilyich Tchaikovsky 1840年 - 1893年)
ドヴォルザーク (Antonin Dvorak 1841年 - 1904年)
マーラー (Gustav Mahler 1860年 - 1911年)
シベリウス (Jean Sibelius 1865年 - 1957年)
ヴォーン・ウィリアムズ (Ralph Vaughan Williams 1872年-1958年)
プロコフィエフ (Sergei Sergeevich Prokofiev 1891年 - 1953年)
ショスタコーヴィチ (Dmitrii Dmitrievich Shostakovich 1906年 - 1975年)


有名どころとしては、この辺りでしょうか。

現在、交響曲として認識されるスタイルを完成させたのは、ハイドンでしょう。
ハイドン、モーツァルト辺りでは、交響曲は音楽形式の内の一つだということが出来ます。

しかし、ベートーヴェンというギャンブラーが、この交響曲というジャンルに、
「人生観」というカンフル剤をドーピングすることにより、
交響曲は他の音楽形式から、特別なものに昇華されることになります。
(ロマン派という時代を反映した、常道の表現手段だと思います。)

ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」から、
それが顕著に表れているように思います。

この、人生観の表明としての交響曲は、
ベートーヴェン以後、マーラー辺りまで適用されているように思います。

その後は、ハイドン、モーツァルト辺りの時代に先祖返りし、
音楽形式の内の一つといえるようなものに戻ります。

これから述べさせていただくのは、ロマン派時代の交響曲、
つまり、ベートーヴェンからマーラーまでの交響曲の歴史になります。

なぜ、私がブルックナーを世界最高の交響曲作曲家として認識しているのか、
各作曲家の作品群を例に、今後更新していきます。




ブルックナーの作品・生涯について、分かりやすくまとめられています。

作曲家 人と作品 ブルックナー (作曲家・人と作品)作曲家 人と作品 ブルックナー (作曲家・人と作品)
(2006/05/01)
根岸 一美

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ブルックナーの交響曲第4番のスコア(楽譜)です。

OGTー204 ブルックナー 交響曲第4番 変ホ長調 第2稿(1878/80) (Osterreichische Nationalbibliothek Internationale Bruckner‐Gesellschaft miniature scores)OGTー204 ブルックナー 交響曲第4番 変ホ長調 第2稿(1878/80) (Osterreichische Nationalbibliothek Internationale Bruckner‐Gesellschaft miniature scores)
(1999/12/02)
L.ノーヴァク、 他

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ブルックナーの交響曲第4番の素晴らしい演奏をご紹介致します。

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
(2007/11/07)
ヴァント(ギュンター)

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  1. 2011/03/18(金) 00:05:40|
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