生きること、死ぬこと、それ以上のなにか・・・

このブログでは、音楽、なかでもクラシック作曲家である「バッハ」を中心に取り上げます。 また演奏家、CDについての批評も行います。 ちなみに私は指揮者のセルジュ・チェリビダッケに深く傾倒しております。

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チェリビダッケ批評 20 チャイコフスキー バレエ組曲「くるみ割り人形」


Tchaikovsky: Symphony 4 & Nutcracker SuiteTchaikovsky: Symphony 4 & Nutcracker Suite
(2004/10/04)
Tchaikovsky、Sergiu Celibidache 他

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EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは第20回目のレビューになります。

第20回目の曲目は、


"チャイコフスキー バレエ組曲「くるみ割り人形」 作品71a"(1991年録音)
原題: Tchaikovsky : The Nutcracker Suite

非常に儚く、なごやかで、
かつ、かけがえようもない美しさを持った演奏です。


この組曲は、チャイコフスキーがバレエ音楽から編んだ組曲である。
「くるみ割り人形」作曲中のチャイコフスキーはこの頃、
自作を指揮する演奏会を企画していたが、あいにく手元に新作がなく、
また作曲する暇もなかったため、
急遽作曲中の「くるみ割り人形」から8曲を抜き出して演奏会用組曲としました。
バレエの初演に先立ち、1892年3月19日初演されました。
組曲版の演奏時間は通常だと約23分。
(チェリビダッケは約30分かけて演奏しています。)
作曲家自身の楽曲構成ということもあり、
「白鳥の湖」「眠れる森の美女」の組曲と異なって、
この構成は大抵の演奏において不変です。以下は慣例名によります。

―演奏について―


・第1曲 小序曲 (Ouverture miniature)
Allegro giusto、変ロ長調、4分の2拍子(複合2部形式)


弦楽器が非常に快活で、わくわくさせてくれます。
ディナーミクの振動の大きさは驚異的です。
テンポも適切に(曲想に応じて)変化します。
そして、特筆すべきは弦楽器(特にヴァイオリン)の響きの美しさです。
澄み切った響きとはこのようなことを指すのでしょう。

(以下第2曲~第7曲は、性格舞曲 (Danses caracteristiques)とされます。)

・第2曲 行進曲 (Marche)
Tempo di marcia viva、ト長調、4分の4拍子(ロンド形式)。A-B-A-C-A-B-A


とても有名な曲です。
ダイナミズムが素晴らしです。
最初に登場するAの主題と
再帰して奏でられるAの主題を聴き比べてみてください。
なんという違い!
そしてその違いには音楽の必然性が込められているのです。

・第3曲 金平糖の精の踊り (Danse de la Fee Dragee)
Andante non troppo、ホ短調、4分の2拍子(複合三部形式)


チェレスタの響きが非常に美しいです。
美しいだけではありません。
チェレスタはとても音量の小さい楽器ですから、
他のオーケストラのセクションに埋もれることが多いのですが、
チェリビダッケの見事なオーケストラコントロールにより、
非常に調和して響きます。


・第4曲 ロシアの踊り(トレパック) (Danse russe (Trepak))
Tempo di Trepak, Molto vivace、ト長調、4分の2拍子(複合三部形式)。


これも非常に有名な曲です。
とても快活で溌剌としており、
これが老人の音楽だとはとても信じられません。


・第5曲 アラビアの踊り (Danse arabe)
Allegretto、ト短調、8分の3拍子(変奏曲形式)。


前曲から一変して、
暗く、不可思議な印象をもたらします。
異国情緒とでもいうのでしょうか?
この怪しさは恐ろしいほどです。
各曲におけるチェリビダッケの表情の付け方は、
驚異的なまでに適切で自然です。

・第6曲 中国の踊り (Danse chinoise)
Allegro Moderato、変ロ長調、4分の4拍子(小三部形式)。


とても短い曲ですが、
各パートをこれほどまでにポリフォニックに響かせる手腕には驚きの念を禁じえません。


・第7曲 葦笛の踊り (Danse des mirlitons)
Moderato Assai、ニ長調、4分の2拍子(小ロンド形式)


調和、この曲を聴いたときに浮かぶ印象はそれです。
ピアニッシモの美しさには言葉が出ません。


・第8曲 花のワルツ (Valse des fleurs)
Tempo di Valse、ニ長調、4分の3拍子(複合三部形式)。


クラシック音楽の中でも非常にポピュラーな音楽です。

すこし、話が逸れるのですが、
クラシック音楽の愛好家の中では超有名曲を軽んじている風潮があるように感じられます。
しかし、これ断固として間違えています。

例えば、
アルビノーニ『アダージョ』や
パッヘルベル『カノン』、
バッハ『主よ、人の望みの喜びよ』、
シューベルト『ロザムンデ 間奏曲』
といった音楽を聴いてなにも感じることが出来ないのであれば、
他の音楽を聴いても、分かるはずがない。
と私は思っています(非常に極論ですが・・・)。



さて、演奏についてですが、
いつものチェリビダッケの音楽です。


・全ての音に意味を持たせている(各楽器のパートバランスが非常に見事です。)。
・音楽のダイナミズムを非常に自然に描いている。
・完璧にチューニングされたオーケストラの響きの美しさを堪能できる。
・転調において、世界が変わったかのような印象を受ける。
 等など・・・


曲は最後、自然(この自然さは特筆するべきものがあります。)に高揚して終わりを迎えます。
この曲は組曲ですが、
不思議と交響曲(起承転結を持っている。)を聴いたような、
そういう印象を残します。

これは、
あまた存在する「くるみ割り人形」組曲の演奏の中でも特別なものだと思います。
非常に鮮烈で、覚醒的な音楽です。



こちらのブログで多種多様な演奏を紹介されています。
【失敗しないクラシックCD入門】チャイコフスキー「くるみ割り人形」




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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

  1. 2011/03/27(日) 21:58:54|
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