生きること、死ぬこと、それ以上のなにか・・・

このブログでは、音楽、なかでもクラシック作曲家である「バッハ」を中心に取り上げます。 また演奏家、CDについての批評も行います。 ちなみに私は指揮者のセルジュ・チェリビダッケに深く傾倒しております。

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チェリビダッケ批評 23 ムソルグスキー/ラヴェル 「展覧会の絵」

EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは23回目のレビューになります。

23回目の曲目は、

"ムソルグスキー/ラヴェル 「展覧会の絵」"(1993年録音)
原題: Mussorgsky/Ravel "Pictures at an exhibition


(長らく更新していませんでした、申し訳ありません。)
因みに、EMIはこの音源を販売形態を変えて、3枚も出しています。
お金儲けの魂胆がみえみえです、クソー!
(しかし、私はチェリビダッケマニアなので、全部買ってしまいました・・・
だって、それぞれのCDのカップリング曲が違うんですよ・・・)


①EMI

セルジュ・チェリビダッケの至芸セルジュ・チェリビダッケの至芸
(1997/10/22)
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

商品詳細を見る


チェリビダッケのEMI録音BOXが出る前に単体で販売されたものです。
曲目:チャイコフスキー 幻想的序曲「ロメオとジュリエット」
   ムソルグスキー~ラヴェル編曲「展覧会の絵」
どちらともミュンヘン・フィルハーモニーの演奏です。
(これ以降オーケストラについての表記がない場合は、ミュンヘン・フィルとの演奏です。)

Mussorgsky.jpg

チェリビダッケのリハーサルを収録したもので2枚組です。
曲目は、上記と同じです。

Bolero.jpg

チェリビダッケのBOXが発売され、その中に入っていたのがこれです。
曲目:ラヴェル「ボレロ」
   ムソルグスキー~ラヴェル編曲「展覧会の絵」

(EMIの「展覧会の絵」の音源は全て同一のものです。)

チェリビダッケのムソルグスキー「展覧会の絵」

これは、チェリビダッケファンにとっては、禁断の響きでしょう。
生前、チェリビダッケはこの曲を好んで演奏していました。
そして、この演奏が奏されていたときには、悠久の流れがありました。
断言しますが、「展覧会の絵」に関しては、チェリビダッケを超える演奏はありません。
(感じ方は人それぞれなので断定したくはないのですが)
そこまで言わしめる圧倒的な音楽です。

各曲を見ていきます。

第1曲目-第1プロムナード Promenade
堂々と威厳をもち、しかしどこか儚く曲は開始されます。
非常に有名なテーマですが、全く新しく、今創造されたような印象を受けます。
第2曲目-小人(グノーム) Gnomus
非常に怪しい音楽です(良い意味で)。
この様な毒毒しい怪しさを持つ音楽も稀です。
第3曲目-第2プロムナード [Promenade]
2回目のプロムナードは木簡楽器を中心に奏でられます。
必然的にそれは郷愁を誘う音楽になります。
第4曲目-古城 Il Vecchio castello
この中間色の美しさ、弛緩(良い意味で)を見事に表現しています。
第5曲目-第3プロムナード [Promenade]
金管楽器中心のプロムナードです。
金管楽器は全体のチューニングが非常に難しいのですが、
チェリビダッケはそれをやります。
それだけでなく、オーケストラ全体をチューニングし、会場や楽器の音響特性にもこだわり、
最終的には精神のチューニングとさえいえるようなことをも実現させています。
第6曲目-テュイルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか Tuileries - Dispute d'enfants apres jeux
フルートの最初の響きが非常に美しい小曲です。
第7曲目-ビドロ Bydlo
徐々に盛り上がっていく、一種異様な高揚感、そして暴力性。
最後にそれは儚く消え去っていきます。
第8曲目-第4プロムナード [Promenade]
アレンジされたプロムナードです。
弦楽器のハーモニーが非常に美しいです。
第9曲目-卵の殻をつけた雛の踊り Ballet des poussins dans leurs coques
木管楽器を中心とした小曲です、この曲はリズムが面白く、
チェリビダッケはリズムにも偏執狂的なアプローチを施しています。
第10曲目-サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ Samuel Goldenberg und Schmuyle
この曲では対立する2つの要素のがあり(乱暴に例えるなら、ソナタ形式の提示部)、
その表情付けが見事です。

(第5プロムナード Promenade(ラヴェル版では削除))

第11曲目-リモージュの市場 Limoges - Le marche
前曲とのコントラストが見事で、この曲の躁的に明るい面を強調しています。
第12曲目-カタコンベ - ローマ時代の墓 Catacombae - Sepulchrum Romanum
冒頭の異常なまでの印象、驚き、そして暗さ・・・
ここから曲はどんどん悲劇的にエスカレートしていきます。
第13曲目-死せる言葉による死者への呼びかけ Cum mortuis in lingua mortua
オーボエの何もかも諦めきったかのような表情が非常に印象的です。
そして、この曲に顕著に見られる弱音部分の美しさといったら!
第14曲目-鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤーガ La cabane sur des pattes de poule - Baba-Yaga
チェリビダッケはこの曲の本質を「焦燥」、と捉えているのではいかと思います。
第15曲目-キエフの大門 La grande porte de Kiev
全てがここに集約されます。
冒頭のあくまでメッゾフォルテでいて、掛け替えのない感動をどのように表現すれば良いのか?
プロムナードの主題が回帰的に登場します。
それは全体に統一感を持たせるためです。
そして、この目論見は偉大さを持って、実現されます。
曲の終結、
音がどんどんクレッシェンドしていき、
音楽がその密度によって耐えられなくなります。
そして最後に圧倒的なカタルシスをもたらし、
この偉大な曲、そして演奏は終わりを告げます。

②EMI以外のCD
EMI以外で、私が所有しているディスクを以下に記載します。
(計)7ディスク

1.

シューマン : 交響曲 第4番 他 (Schumann : Symphony No.4, Mussorgsky : Pictures at an Exhibition / Celibidache, Munchner Philharmoniker) [SACD シングルレイヤー]シューマン : 交響曲 第4番 他 (Schumann : Symphony No.4, Mussorgsky : Pictures at an Exhibition / Celibidache, Munchner Philharmoniker) [SACD シングルレイヤー]
(2012/12/20)
シューマン、 他

商品詳細を見る


ALTUSレーベルのCD(上記のリンクはSACD)です。
カップリングはシューマンの交響曲第4番です。
来日公演の演奏で、録音は1986年です。
このCDは音が良くお薦めです。

2.

ムソルグスキー:展覧会の絵ムソルグスキー:展覧会の絵
(1999/07/23)
シュトゥットガルト放送交響楽団

商品詳細を見る


GrammophonのCDです。
カップリングはストラヴィィンスキーの「妖精の口づけ」です。
オーケストラはシュトゥットガルト放送交響楽団で、透明感あふれるものですが、
録音が良くない。変なバランスになっています。

3.
Celibidache with London Symphony Orchestra

Concert ClubのCDです。
ロンドン交響楽団との演奏です。
これが非常に素晴らしい、音質も生々しく、
チェリビダッケの「展覧会の絵」の3本指に数えられるでしょう。

4.
AUDIOR.jpg
これ以降のCDはBoot盤になります。

AUDIORというレーベルのCDです。
1986年ベルリンでのライブ録音です。

断定します、チェリビダッケが演奏した「展覧会の絵」の録音の中で、
これは最も優れたCDです。
演奏・録音が非常に優れています。
チェリビダッケの残した全ての音源の中でも5本指に入るかもしれません。

各組曲の色分けも非常に丁寧になされています。
そして、全体のパースペクティブが圧倒的に深く考察されています。

最後の最後、キエフの大門で、
チェリビダッケが、「ディーーーー」と、叫びます。
その後の地平線の彼方まで見通せたかのような響き、
(ここで私は音楽を見たような、幻視したかのような感覚に襲われました。)

フォルテッシモでもオーケストラの楽器が全く濁らない。
もう、これは一つの次元を超えた演奏です。
私はこの音楽をより多くの方に聴いて頂きたいと願っています。

カップリングはブルックナーの交響曲第7番です。
こちらも名演ですが、また次の機会に・・・


5.
Mussorgsky Pictures at an Exhibition

METEORというレーベルのCDです。
オーケストラはシュトゥットガルト放送交響楽団です。

はっきりいって、同じオーケストラのGrammophonのCDより、ずっと優れています。
特に音質の点で・・・
このころのチェリビダッケはまだ晩年の悠々さは見られませんが、
オーケストラを磨けあげ、異常なまでに美しい響きを奏でていました。

6.
Artists1.jpg

ARTISTSというレーベルのCDです。
3と同じソースを用いています。
ただ、こちらの方が高音域で少し音がキンキンする気がします。
カップリングは、同じくムソルグスキーの「禿山の一夜」です。

7.
Mussorgsky Pictures at an Exhibition (Artists Chicago)

また、ARTISTSというレーベルのCDです。
こちらは、アメリカのシカゴでのライブ録音です。
私は、ARTISTSというレーベルの音作りに、あまり共感出来ません。
演奏の方も、長旅の疲れが指揮者にもオーケストラにもあったのか、
些か弛緩しています。

③映像(DVD)
なお、映像も残っています。
ロンドン交響楽団を引き連れての来日Liveなど、

テレビで放送されていましたので、
ご覧になられた方も結構いらっしゃるのではないかと思います。

1.ロンドン交響楽団との来日公演(1980年)

NHKクラシカル セルジウ・チェリビダッケ ロンドン交響楽団 1980年日本公演 [DVD]NHKクラシカル セルジウ・チェリビダッケ ロンドン交響楽団 1980年日本公演 [DVD]
(2007/10/26)
セルジウ・チェリビダッケ.ロンドン交響楽団

商品詳細を見る


2.Audi Concert
チェリビダッケ&ミュンヘン・フィルが自動車メーカー、アウディで行ったコンサート。(年代不明)
演奏は良いんですが、残念ながらいかんせん音がいただけません。
画質もあまり良くありません。

3.Live
チェリビダッケ&ミュンヘン・フィル(詳細不明)
まず、間違いなくミュンヘンフィルです。
演奏・音質共に、可もなく不可もなくといったところです。


-結論-
チェリビダッケの「展覧会の絵」はオーケストラ芸術の一つの極点、
といっても過言ではありません。

計13音源ありますが、
聴くのでしたら、②の4、
AUDIOR盤(AUD-7009-10)
が最もお薦めです。

いまなら、EMIのこのBoxが信じがたいほど、安くなっています。





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  1. 2013/03/25(月) 18:09:02|
  2. チェリビダッケ批評
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