生きること、死ぬこと、それ以上のなにか・・・

このブログでは、音楽、なかでもクラシック作曲家である「バッハ」を中心に取り上げます。 また演奏家、CDについての批評も行います。 ちなみに私は指揮者のセルジュ・チェリビダッケに深く傾倒しております。

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チェリビダッケ批評 07 シューマン交響曲第2番

シューマン:交響曲第2番、ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲シューマン:交響曲第2番、ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
(2007/01/01)
ロベルト・シューマン、 他

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EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは第7回目のレビューになります。

第7回目の曲目は、
”シューマン交響曲第2番 ハ長調” (1994年録音)

私はシューマンの交響曲の中では、最もこの作品が好きです。
勿論、交響曲第4番の方が成熟していると思います。
ではなぜ、交響曲第2番に固執するのか?
それは、シューマンがこの曲において、理想に燃えているからです。
(この曲では、シューマンの病的な面は喜薄です。)

また、指揮者:レナード・バーンスタインの、感動的な演奏に接することが出来たのも、
一つの要因になっているかもしれません。
(この曲はバーンスタインのお得意のレパートリーでした。)

この曲は起承転結が明確に提示されています。
そして、それを、ベートーヴェンのような、
執拗なまでの執念で完成させるのではなく、
ごく、自然なかたちで完成させています。
これは、凄いことです!


シューマン自身が精神的にまいっている状況の中で書いた曲とされていますが、
「精神分裂」的要素は少なく感じます。
(良くも悪くも、健康的な作品に感じます。)

それでは、演奏について述べます。

第1楽章
ソステヌート・アッサイ-アレグロ・マ・ノン・トロッポ
(ハ長調。序奏付きのソナタ形式。序奏は6/4拍子。主部は3/4拍子。)


希望と儚さが交錯するような、不思議な序章からこの交響曲は始ります。
(神秘的ではありません。)

満たされない高揚が延々と続く。非常にもどかしい気持ちになります。
フォルテッシモで叫びたいのに、叫べない。
(これは、もしかすると、苦悩なのかもしれません。)

この楽章はクライマックスに辿り着こう、辿り着こうとし、
結局辿り着けずに、次の楽章を迎えます。
コーダの高揚は非常に嘘くさい音楽になっています。


チェリビダッケの演奏で聴くと、
作曲家がなにを考えたのか、その精神過程がありありと表現されます。


第2楽章
スケルツォ アレグロ・ヴィヴァーチェ(ハ長調。2/4拍子。)


この楽章では、執拗に同じ音型が繰り返されます。
しかし、チェリビダッケの演奏の場合、
繰り返し一つ一つで、微妙に表情が変化していることが分かります。


第3楽章
アダージョ・エスプレッシーヴォ(ハ短調。2/4拍子。)


朗々とと、悲しみが歌われます。
しかし、チェリビダッケの演奏の場合、
この悲しみは、本当の悲しみなのか?という疑問を抱かされます。
ひょっとしたら、悲しみのポーズではないのか?と。
周到に計算された、ポーズではないのか?と。
大体、短調のメロディをオーボエに歌わせるということが、
全て計算ずくだということを、表しています。
(ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」~第2楽章にも同様のことが言えます。)


しかし、仮に悲しみのポーズだとして、一体なんの問題があるのでしょうか?
これも一つの非常に有効的な技巧だと、私は判断します。


第4楽章
アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ(ハ長調。2/2拍子。)


非常に、力強い、威厳に満ちた音楽です。
勝利、そのように表現してもいいかもしれません。
クラマックスに向かい、果てしなく広がっていく解放された満足感。
それは、繰り返される上昇音型によって、形作られています。


「なぜ音楽が高揚しているのか?」
「それは上昇音型によってだ。」


音楽の背後にあるものを意識するしないに関わらず、
強制的に聴き手に理解(体感)させる。
それがチェリビダッケの凄いところです。


ここで、第1楽章~第3楽章で表現されていた、不安は完全に払拭されます。
讃歌?輝かしいクライマックスを迎えます。


<全体を通じての感想>
優れた演奏同士を比較すのは、とても難しいことです。
ひょっとしたら、意味のないことなのかもしれません。


しかし、この曲に関しては、
チェリビダッケの見事なまでに調和された世界観
バーンスタインの熱狂・陶酔に身を委ねた感動的な演奏

この2つの演奏を比較します。
先に結論を述べると、どちらが良いということはありません。
好みの問題だと思います。

両者とも、それぞれの表現方法に従い、
世界最高のレベルにまで到達しています。


2人のやり方はまるで異なっています。

かたや、全体がどのように構築されるべきなのか、
各フレーズがどのようなアーティキュレーションでメロディを奏でるか?
どのように各楽章は関連付けられているのか?
など、徹底的に考えぬいた演奏を行った、セルジウ・チェリビダッケ。


かたや、音楽の持つ力をナイーブに信じ、
高揚する箇所では、これ以上ない位の熱狂を表現し、
悲しみに襲われる箇所では、これ以上ないほどに悲痛な音楽を奏でる。
感動をそのまま、愚直なまでに表現する、レナード・バーンスタイン。
(これは、あまりに幼稚な方法かもしれませんが、
結果として素晴らしい成果を残しています。)


シューマンの交響曲第2番は、、
バッハやブルックナーのような、
完全に完成、洗練された音楽ではありません。
つまり、曲としての完成度が完璧というレベルにまで到達していません。
曲の中に矛盾が存在します。


その矛盾を無理やり(理想のために)調和させた、チェリビダッケ。
矛盾は矛盾として、直接、表現(感動のために)した、バーンスタイン。

この曲に限定して述べれば、
バーンスタインの方法の方が優れているように感じます。
私は、純粋に感動を与えてくれるバーンスタインの演奏の方を好みます。


次回は、ブラームスの 「ハイドンの主題に基づく変奏曲」を取り上げます。





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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

  1. 2010/12/12(日) 06:56:34|
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