生きること、死ぬこと、それ以上のなにか・・・

このブログでは、音楽、なかでもクラシック作曲家である「バッハ」を中心に取り上げます。 また演奏家、CDについての批評も行います。 ちなみに私は指揮者のセルジュ・チェリビダッケに深く傾倒しております。

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チェリビダッケ批評 09 ドビュッシー 「海 - 管弦楽のための3つの交響的素描」


La Mer Celibidacheドビュッシー:「海」「イベリア」
(2001/04/18)
チェリビダッケ(セルジュ)

商品詳細を見る


EMIから販売されている、チェリビダッケの演奏をレヴューします。
これは第9回目のレビューになります。

第9回目の曲目は、
”ドビュッシー 「海 - 管弦楽のための3つの交響的素描」”(1992年録音)
原題(仏): La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre

ドビュッシーの管弦楽作品の中で、最高傑作ではないでしょうか。
オーケストレーション、その着想、そして刻一刻と変化する音色。

この曲が、印象主義音楽を代表する作品であり、
近代音楽史上最も重要な作品の1つであると言われていることも納得出来ます。

ドビュッシーは、
「音楽の本質は形式にあるのではなく色とリズムを持った時間にこそある。」
という発言をしています。

そして、この「海」という曲は非常に色彩的な音楽です。
リズムはあまり強く意識、強調させられません。
(私が、気付いてないだけかもしれません。)


一応標題音楽の体を為していますが、
標題音楽「海」、というより、
オーケストラのための協奏曲といった印象を受けます。
(バルトークじゃないよ。)


この曲の3楽章構成で作曲されています。

それでは、演奏について述べます。

第1楽章:
「海の夜明けから真昼まで」 (De l'aube a midi sur la mer)


冒頭部分、つまり夜明けの海の部分。
これほど神秘的な音楽は、
ブルックナーの交響曲以外、知りません。


移りゆくニュアンスの透明感、色彩の変化。
そして、背後にある哀しみ。

そして、第1楽章で早くもクライマックスが訪れます。

徐々に、しかし確信を持って、一歩一歩登りつめていきます。

ただ、上へ、登りつめて、登りつめて、登りつめて。
そこで今までの緊張感が一気に昇華されます。
遥か、地平線の彼方を見通せるような感覚に出会います。


この感覚!
一瞬にして、景色が全く異なるものへ変化する。
このような、一瞬にして世界観が変わるような演奏は、
チェリビダッケ&ミュンヘン・フィル
だけしか成し遂げられなかったものだと思います。


第2楽章:
「波の戯れ」 (Jeux de vagues)


この「海」という作品は、第1楽章のクライマックスで、
圧倒的なカタルシスを与えているため、
後の楽章は、エピローグ的な感が否めません。


しかし、そこはチェリビダッケ。
ボンクラの演奏家とは違います。
この曲の問題点を解決して、第2楽章、第3楽章にも、
それがなければならないという、
必然性を持たせることに成功しています。


ニュアンス豊かな音色、ただの盛り上がりではありません。
(海の演奏はオーケストラをただ派手に鳴らすだけの演奏が多々あります。)
夢を見ているかのような、優しさに満ちた演奏です。
そういえば、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」も夢を描いた作品ですね。


第3楽章:
「風と海の対話」 (Dialogue du vent et de la mer)


緊張感を持って、この楽章は開始されます。

この楽章の途中、夢をみるかの様に幻想的な、
ちょっとした事で壊れてしまうような、
繊細さを持っています。

そして、この楽章の最後は、第1楽章の高揚に匹敵するような音楽で幕を閉じます。
(盛り上げ方は、第1楽章の方が、自然で神秘的です。)

確かに、この「海」という作品のクライマックス、肝は第1楽章にあるのですが、
それを感じさせない、果てしなく美しい音色の饗宴です。


<全体を通じての感想>

チェリビダッケとドビュッシー、ラヴェルの相性は抜群でした。
(特にラヴェル。驚天動地の演奏です。)
チェリビダッケのブルックナーも、それはそれは素晴らしいものでしたが、

「細部への偏執狂なこだわり」
「音色の(微妙な、しかし、とても大切なことです)な変化」
「言葉にならないニュアンス(雰囲気のようなものです)」


この3点において、チェリビダッケは最晩年、とんでもない演奏を行っていました。

過剰なまでの繊細さ、
畏怖すべき圧倒的な力、
曲の遷移により刻一刻と変化する色彩。



もう、言葉が出てきません。
これは、言葉では、表現出来ません。





Wagner Debussy

別のCDをご紹介いたします。
ことらは、チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルの演奏で、
ワーグナーの「前奏曲と愛の死」
ドビュッシーの「海」
が収められたディスクです。

いつか、この録音に関して批評を行うかもしれません。

残念ながら、実はこちらのCDの方が、
演奏のクオリティも録音状態も良く、
当日、コンサート・ホールで鳴り響いていたであろう、
会場の空気感をかなり正確に伝えてくれます。


(海賊版です。
 ヤフオクなどで購入することが出来ます。
 当然、Amazonでは買えません。)

次回は、チャイコフスキー 交響曲第5番を取り上げます。






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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

  1. 2010/12/13(月) 04:23:36|
  2. チェリビダッケ批評
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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